源九郎とよが、源九郎稲荷神社へ足を運んだのは、癌で余命宣告をされた親友美里の病気祈願をしたのが最初でした。
食べ物を口にすることができなかった美里は、とよが源九郎稲荷神社に祈願した数日後には食べることが可能になり、しばらくして退院することができました。
願いを叶えてくださった源九郎稲荷神社に対して、何か力になれないものか・・・・
そう考えて、当時、荒廃していた源九郎稲荷神社の境内のお掃除を始めました。
このお掃除がきっかけで、後に源九郎稲荷神社を復興させようという活動へと繋がっていきます。
しかし、一時は良くなったものの、1年後には再入院した美里・・・
壮絶な闘病生活を続けますが・・・
美里の難しい手術の結果は・・・
そんな美里と源九郎とよがお別れする日が近づていきました。
とよは、時間のある時は、源九郎稲荷神社に日に何度もお参りをしました。
本当は
とお願いしたかったのですが、郡山八幡宮の宮司の奥様から、
と言われていただけに、それはできずにおりました。
ただ
と源九郎大神様に誓いました。
そして・・・できるだけ美里のお見舞いに行きました。
けれど・・・美里の闘う姿を見て、とよの心の中では、
という気持ちが日に日に強くなってきていました。
美里が、がんばることをやめたとき、それは美里の死を意味します。
とよは、
そう思うものの、抗ガン剤を治療を受け、苦しみながらがんばる美里の姿が、辛くて見ていられなくなってきていました。
美里の苦しい闘病生活は、2ヶ月ほど続きました。
その間、美里は癌が大きくなりすぎて抗がん剤治療ができなくなっため、再び手術を受けました。
とても難しい手術なので、違う病院の有名な大腸外科医の先生が来られて執刀をしてくれることになりました。
その手術は何時間もかかりましたが、大きくなった癌細胞を取り除くことができました。
そのため、近いうちに再び抗がん剤治療が再開できるとのことでした。
腸が破裂してしまった美里・・・
そして、手術から2週間ほどたった夏まっさかりの8月初旬、とよがいつものように病院に行くと、美里が、表情のない顔でベットに横たわっていました。
いつもなら、どんなに辛くてもニコリと笑ってくれる美里が、とよの顔を見ても本当に無表情だったのです。
がんばりすぎて、少し疲れたかな?
とよは、美里に話かけました。
もう一生何も食べれないんだ。
・・・・とよは、その言葉の意味がわかりませんでした。
昨日破裂しちゃったんだ。
それで先生から。この先一生固形物の食べ物を口にすることはできないって言われちゃった。
そう言った美里の顔に、やっと、いつもの笑みが戻りました。
そういう問題じゃないでしょ!!
とよは、これでもかと次から次へとやってくる病魔が美里に与える仕打ちに対してすごく腹立たしくて、その感情をどこにぶつけたらいいのかわかりませんでした。
美里とのお別れの時間
二人の間にかなり長い間沈黙の時間が流れました・・。
最初に言葉を発したのは美里でした。
今、来てくれるのはあんただけだし・・・。 でもね、確かに少しだけ、心がしんどいんだ~。 食べれないという事実を受け止めるのに、少し時間がほしいんだ~。 それと、今までがんばりすぎたから、しばらくゆっくりしたいねん。 元気になったら連絡するから、そしたら、また来てよ。
かなりがんばりすぎたもんね~。
とよは、ついに美里と別れの時が来たんだなと思いました・・。
どっと涙が溢れました。
美里の前で泣いてはいけない・・・
美里が泣かないのに泣いてはいけない・・。
必死で涙をぬぐいました。
そして、美里のこの思いを受け入れなければいけない・・・
そう思いました。
待ってるからね。必ずだよ!!
暫く会えないから送りたいねん。
そう言って、美里は、ベットから起き上がりました。
そして、点滴をしたままの姿で、とよを病室から10メートル程歩いたナースセンターのところまで送ってくれたのです。
ここまでが限界。ここで許してね。 じゃあね。 元気になったら連絡するからね。
そいう言って、美里はニコリと笑うと、踵を返してUターンしました。
美里が、振り返ってとよの方を見ることはありませんでした。
とよは、痩せた美里の後ろ姿を、いつまでもいつまでも見ていました。
もう二度と会えないことを予感しながら・・・・。
物語の続き第23話はこちら
源九郎稲荷神社復興活動に続く「源九郎とよのバンコクスパ経営奮闘記」
それまで勤めていた警察を辞めて、タイ、バンコクで新たな挑戦を始めることになったのです。とよが源九郎稲荷神社復興活動チームから離れて、警察同期生だった親友の助けを得ながら異国タイで奮闘するハチャメチャな様子を綴った物語が「元女性警察官(刑事)コンピがバンコクでスパ経営物語」です。
なんとか成功してお金を貯めて源九郎稲荷神社の社務所を建て替えるのがとよの夢なのですが、新型コロナウィルスのパンデミックもあり、なかなかすんなりとはいかない状態です。
でも、夢をあきらめずにやれるところまで頑張ってみたいと思います。ご興味のある方は、そんな源九郎とよの奮闘状況をご覧ください。
元女性警察官(刑事)コンビのバンコクスパ経営物語