源九郎稲荷神社へと導いてくれた親友美里の病気との最後の戦い(源九郎稲荷神社復興物語 第21話)

今回の登場人物
源九郎とよ
源九郎とよ
源九郎とよ(本名土井美苗):復興活動物語のボランティアチームスタッフ代表。この当時は警察官をしておりました。当時は本名を隠してペンネームの「源九郎とよ」で活躍しておりました。
美里
美里
美里:とよの親友。癌で余命3か月の命。とよの警察同僚のHくんとは高校の同級生

 

源九郎とよが源九郎稲荷神社のお掃除を始めるきっけとなったのは、親友美里が大腸がんで余命宣告をされたことが始まりでした。

 

その美里も、一時は体調が良くなり退院できたものの、1年後には再入院してしまいました。

さらに、医師からはもう長くないことを告げられました。

 

そのな美里のお見舞いにいった源九郎とよは、美里に何も声をかけてあげることができず落ち込んでいたのですが、お見舞いの帰りに偶然入った接骨院には、なんと、大和郡山八幡宮の神様が神棚に祀られいたのです。

 

そして、そこで出会った院長先生と話をしているうちに・・・・

どんなこともあきらめちゃいけないという思いにさせられました。

 

さらにこの接骨院のスタイルが現在とよがバンコクで開業している治療院に大きな参考となるのです。

前回の記事はこちら

 

今回は、親友美里の最後の闘いの様子を記録させてもらいます。

彼女の最後まであきらめなかった姿が、後にとよの源九郎稲荷神社の復興活動への源となっていくのです。

 

美里と二人きりの最後のひととき・・・

 

ある日、とよが病院に行くと、ベットに美里はいませんでした。

 

看護師さんに聞くと、「たぶんトイレだ思いますよ」というので、部屋で待っていましたが、なかなか戻ってこないので、心配になってトイレに行きました。

 

1つだけ、扉が閉まっていたので、たぶん美里が入っているのだろうと思いました。

でも、なかなか、出てきません・・・・・

 

おそらく20分位はトイレの扉の前で待ったと思います。

 

扉が開いて、美里が出てきました。

 

真っ青な顔をして、とても辛そうでした。

 

とよは、美里を抱えるようにして病室まで連れて行きました。

美里
美里
トイレが一番辛いねん・・・。

 

美里はそういってベットに横になりました。

 

そして、自分で腰をさすりだしたので、

源九郎とよ
源九郎とよ
痛いの?

 

って聞くと、

 

美里
美里
寝てばっかりやし、今は、骨と皮だから、自分の骨が刺さって痛くってさぁ

 

と笑いました。

 

源九郎とよ
源九郎とよ
さすろうか?

 

美里
美里
うん。お願いできる。ヘルパーの子が来てる日は、その子がいつもマッサージしてくれるんだけど、今日は休みで・・・。

 

とよは、美里の腰に手を当ててびっくりしました・・・。

源九郎とよ
源九郎とよ
・・・細い・・。細すぎる・・・。

喉の辺りに、こみ上げてくるものがありましたが、必死で飲み込みました。

 

それから、しばらくの間、とよは無言で美里の腰を摩っていました。

 

たった二人だけの時間・・・・・。

とても静かで、おだやかな時間が過ぎていきました。

 

源九郎とよ
源九郎とよ
このまま時が止まってくれればいいのに・・・

 

と願いました。

 

何も言葉を交わさないけれど、お互い大切な存在であることを噛み締めていたような気がします。

このまま美里を自分の手の中に抱きしめて

源九郎とよ
源九郎とよ
もう、そんなにがんばらないで・・・

そう言いたくなる衝動にかられました。

 

でも美里はどんなに辛くても、絶対にあきらめる子ではありません。

源九郎とよ
源九郎とよ
彼女の強さはどこからきているんだろう・・

なんで、こんなにがんばれるんだろう・・

 

彼女にかけてあげられる言葉を見つけられないまま、Toyoはいつまでも彼女の腰を摩っていました。

 

その感触が、彼女がいなくなった今でも・・・まだ残っています。

この感触が残っているから、いつも美里が傍で見守ってくれているような気がするのです。

 

美里の壮絶な戦い

 

・・・・数日後、病院に行くと、美里がとても辛そうな表情をしてベットに横たわっていました。

美里
美里
昨日から、お腹が腫れて辛くて・・・・。あんたやから見せるけど、

ほらっ・・・

 

そう言って、布団をめくり上げた瞬間に飛び込んできた美里のお腹に、Toyoはびっくりしました。

 

まるでソマリアの栄養失調の子供達のお腹のようでした。

 

美里
美里
どうなってしまったのか、わからないねんけど、もうすぐしたらCTを撮るから、今日はもう帰って・・・。

2日後に、また来てほしい。

そのときにはなんでなんかわかっていると思うから・・・。

 

そう言われて、私は病室から追い出されてしまいました。

 

きっと、とても辛い状態だったんだと思います。

 

とよがいると、美里は苦しい表情を必死で堪えようとします。

 

どんなに辛いときでも、周りのものに気をつかう、そんな子でした。

彼女が、泣き喚いたりしたところを、とよは最後まで1度も見たことがありません。

 

そして、それは家族に対しても同じだったそうです。

 

そんな彼女の中に、とよはいつしか菩薩の姿を重ねるようになっていました。

容姿は変わり果ててしまったけれど、こんなに綺麗な女性はいないと思いました。

 

2日後病院に行くと、美里の表情が少しだけ和らいでいました。

美里
美里
今、私のお腹の中に癌の塊が3つあるんだって・・。

その2つは小さいねんけど、1つがすごく大きくて、そいつがある限り、抗がん剤治療をしてもあとの2つにも効かないらしい・・。

だから、その大きな癌を手術して取ってしまおうかという話になってん・・・。

手術が成功する確率は70パーセントくらいらしい。

ここの外科部長は大反対やねんけど、阪大病院から新しく来た外科の先生が、絶対に自信があるから挑戦してほしいって言うねん。

その先生、すごくいい人で、私、その先生に賭けてみようかなって思うねん。

源九郎とよ
源九郎とよ
手術が失敗したらどうなるの?

美里
美里
う~ん。たぶんおさらばやなァ

 

そう、言って美里は微笑みました。

 

源九郎とよ
源九郎とよ
じゃあ、成功したら、その後、抗がん剤治療で治るの?

 

美里
美里
わからんけど、今のままやったら抗がん剤治療はしてもらえない。

でも、その塊がなくなったら、後は小さい癌が2つやから抗がん剤治療でなんとかなるかもしれない」

そして、すぐに搾り出すような声で・・・・

「私は、ただ死ぬのを待つなんて嫌や!!少しでもチャンスがあるなら、それに賭けてみたい!

そう、言いました。

 

源九郎とよ
源九郎とよ
手術はいつするの?

 

美里
美里
1週間後くらいだと思う

Toyoは、またしても、何も言えませんでした。

 

Toyoなら、どうするだろう・・・・

何度も何度も自分に問いかけました。

 

たぶん、何もしないで死を受け入れるだろう

とよは、その答えしか浮かびませんでした。

 

美里のように、闘い続ける強さは自分にはないだろうと思いました。

 

病院を後にしたとよは、その足でむた接骨院へ行きました。

源九郎とよ
源九郎とよ
先生なら、どうしますか?

 

とよは、牟田先生に美里の手術のことを話ました。

むた接骨院院長
むた接骨院院長
俺なら手術を受けますね。

たとえ1パーセントでもチャンスがあるなら、それに賭けます。

そう答えた牟田先生の目線の先に、「叶えなければいけない大きな夢がある」ことが、そのときはっきりと見えた気がしました。

 

源九郎とよ
源九郎とよ
美里も・・同じような目をしてたよな~

美里も、先生も、叶えなければいけない夢があるから、どんなことがあっても、けっしてあきらめることはできないんだ・・・

美里は、元気になって、必ず社会福祉士として復帰するという夢を捨てていないんだ・・・

美里
美里
人には信念という生き方がある

あきらめてしまったら、そこで終わってしまう

あきらめることはいつだってできる

だから、今はまだあきらめるわけにはいかない

 

美里の心の声が聞こえたような気がしました。

 

源九郎とよ
源九郎とよ
源九郎稲荷神社の神様、大和郡山八幡宮の神様さん、美里の手術を成功させてください。

そして1週間後、彼女の手術は成功したのです。

次回の第22話の記事はこちら

 

復興活動物語の目次はこちら

源九郎稲荷神社復興活動に続く「源九郎とよのバンコクス経営奮闘記」

 

源九郎とよ
源九郎とよ
源九郎稲荷神社がある程度復興して、多くの方が参拝に来てくださるようになった2014年、とよはある決意をします。

それまで勤めていた警察を辞めて、タイ、バンコクで新たな挑戦を始めることになったのです。とよが源九郎稲荷神社復興活動チームから離れて、警察同期生だった親友の助けを得ながら異国タイで奮闘するハチャメチャな様子を綴った物語が「元女性警察官(刑事)コンピがバンコクでスパ経営物語」です。

なんとか成功してお金を貯めて源九郎稲荷神社の社務所を建て替えるのがとよの夢なのですが、新型コロナウィルスのパンデミックもあり、なかなかすんなりとはいかない状態です。

でも、夢をあきらめずにやれるところまで頑張ってみたいと思います。ご興味のある方は、そんな源九郎とよの奮闘状況をご覧ください。 


元女性警察官(刑事)コンビのバンコクスパ経営物語