あんたは誰にも相手にされんから源九郎稲荷神社の掃除をしに来てるんか?(源九郎稲荷神社復興物語 第48話)

今回の登場人物

源九郎とよ
源九郎とよ
源九郎とよ(本名土井美苗):復興活動物語のボランティアチームスタッフ代表。 この当時は警察官をしておりました。 当時は本名を隠してペンネームの「源九郎とよ」で活躍しておりました。

中川おじちゃん
中川おじちゃん
語り部「中川のおじちゃん」:源九郎とよと一緒に神社の復興活動をスタートさせることとなる神社の総代さん。 今では神社の「語り部氏」として、雑誌やテレビなどにも取り上げられる神社の顔。 陽気で優しくてダンディーな人で、とよが第二の父と仰ぐ存在。

中川おばちゃん
中川おばちゃん
中川のおばちゃん:語り部氏の奥様。 神社の境内で四季折々のお花を育てているお花の守人。 陽気で優しくて、笑っているところしか見たことがない朗らかな人

いじわるな男性
いじわるな男性
いじわるな男性:神社に授与品を納品している男性。掃除をしているとよに突然、いじわるな言葉をたくさん浴びせてきました。
むた接骨院院長
むた接骨院院長
むた接骨院院長:トヨが通っている接骨院の院長先生。今回、いじわるなおじさんに色々と心無いことを言われて落ち込んでいたトヨと道で偶然に出会い、トヨの話を聞いて慰めてくださいました。
知足山玄明院岩岸住職
知足山玄明院岩岸住職
知足院玄明院住職:源九郎稲荷神社のお火焚祭を執り行ってくださっている修験宗の僧侶。とよの仏教の先生。

前回は、お花にまつわるトラブルについてご紹介しました。

 

前回の記事第47話はこちら

 

今回は、源九郎とよがある人の言葉でとっても傷ついた・・というお話です。

 

嫌な言葉を次から次へと浴びせかける嫌な男性

季節も春へと移り変わりました。

源九郎とよは、変わらず時間のあるときは、神社の掃除をしていました。

 

ある日・・・・

語り部氏の中川のおじちゃんも、おばちゃんもお留守の日がありました。

 

とよは、一人で花壇の落ち葉拾いをしていました。

 

すると・・・・

ある男性が神社に訪ねてきました。

 

その男性は、神社にある商品を卸している人でした。

すでに、何回か神社でお会いしていますが、あまりお話をしたことがない人でした。

 

その人はとよに

いじわるな男性
いじわるな男性
中川さんは

 

と聞いてきたので、

源九郎とよ
源九郎とよ
今、お留守なので、お急ぎなら連絡を取りますが

と携帯電話を取り出したところ・・・

いじわるな男性
いじわるな男性
取らんでいい!!
電話番号なら知っているから自分でかける

 

と、いきなり、すごく偉そうに言われました。

 

とよは、その人に偉そうに言われる筋合いもないので、関わらないでおこうと思い、構わないで掃除を続けていました。

その間、男性は、電話で中川のおじちゃんと連絡を取っていました。

 

そして・・・

電話が終わると、掃除をしているとよの方にニヤニヤしながら近づいてきたのです。

なぜか、とても悪意を感じました。

 

その男性は、いきなりとよに向かって

いじわるな男性
いじわるな男性
あんた、いつ来てもここにいてるなぁ

 

と話かけてきました。

 

とても、嫌な声の掛け方だなと思いながら、顔を上げてその人に対応すると、今度は、

いじわるな男性
いじわるな男性
あんた、どこにも行くところがないのか?

家で、誰にも相手にしてもらわれへんのか?

と、とても失礼なことを言ってきたのです。

 

私は、とてもびっくりしましたし、むっときましたが、自分に辛抱、辛抱と言い聞かせながら

源九郎とよ
源九郎とよ
私は、そういう事情で神社に来て掃除をしているわけではありません

 

と返答しました。

 

すると、その男性は、

いじわるな男性
いじわるな男性
へ~。掃除が好きなんか。

そんなに掃除が好きなら天理教のひのきしんでも行って天理の街を掃除したらいいやろ!!

 

と、とてもニタニタしながらうれしそうに言ってきたのです。

 

あまりにも無礼な、その人の態度にとても頭にきましたが、私はできるだけ冷静になろうと努め・・・・

源九郎とよ
源九郎とよ
すこし、失礼なことを言い過ぎではありませんか?

あなたにそんなことを言われる筋合いはありませんが・・・

 

と言い返しました。

 

でもその人は、それで暴言をやめるどころか、とてもしつこくて、

いじわるな男性
いじわるな男性
あんた、孫はいるんか?孫に相手してもらえよ


と、言って来ました。

 

源九郎とよ
源九郎とよ
私、まだ孫ができる年ではありませんが・・・
いじわるな男性
いじわるな男性
そうか~。

女の人の年はわからんからな~。

今どきの女は早く子供だけは早く生むから、もう孫でもいるかと思ったわ

 

と、止まりません・・・・

 

あまりの失礼さに、

源九郎とよ
源九郎とよ
もう私に構わないでください!!

と、きつく言い放ちましたが、一向にやめる気はありません。

 

とよが嫌がるのを見るのがとても楽しそうでした。

 

とよは、このままでは喧嘩になってしまうと思い、自分の方から、その場を立ち去りました。

すると、やっと、その人はあきらめて帰って行きました。

 

・・・・その男性が帰ってから・・・・

最初は、腹が立つという思いが先に立っていましたが、まるで走馬灯のように、いろんな思い出が蘇ってきました。

 

美里の死ぬ前の姿や、ここまでたどり着くまでの苦労など・・・・

思い出すと、先ほどの男性に言われた言葉がとても悔しくて、涙が出てきました。

 

いじわるな男性
いじわるな男性
誰も相手にしてくれへんのか?

どこにも行くところがないのか?

 

そんな心ない言葉が、夢中でがんばってきたToyoの心を、ずたずたに切り刻んでいました・・。

 

源九郎とよ
源九郎とよ
私は、こんな人に、こんな言葉を言われるためにがんばってきたんだろうか・・・・・。

私は、何をやっているんだろう・・・

 

気がつくと、社務所の中で、静守大明神の扁額を抱きしめて泣いていました。

 

思い出されるのは、美里の最後の姿・・・・。

源九郎とよ
源九郎とよ
彼女の分まで生きて、何かをやらなければ

そんな思いに突き動かされてきた自分というものに気がつきました。

とよは、親友の美里が亡くなったとき泣けませんでした。

 

なのに、なぜ今・・・こんなに涙が出るんだろう・・・。

張り詰めていた糸が切れてしまったような脱力感がありました。

 

無性に誰かにこの思いを聞いてほしくなり

携帯電話で、中川のおばちゃんの番号をダイヤルしていました。

 

でも・・・出ませんでした。

 

次に、岩岸住職の番号にダイヤルしていました。

でも・・・でませんでした。

 

なぜか、みんなに見放されたような気分になり、ますます悲しくなりました。

 

 

道でばったり出会ったむた接骨院の院長の優しさが身に染みて

 

日が暮れるまで神社に一人でいたとよでしたが、ある程度気持ちが落ち着いたので神社を後にして自宅に帰ることにしました。

 

すると・・・途中、

とよがいつもお世話になっている「むた接骨院」の院長先生とバッタリ出会いました。

 

先生は

むた接骨院院長
むた接骨院院長
やあ

 

と、笑いながら声を掛けてくださいましたが、私は笑顔で挨拶を交わすことができませんでした。

 

その様子をおかしいと思った先生は、

むた接骨院院長
むた接骨院院長
何かありましたか?

と聞いてきてくれました。

 

とよは、道端ではありましたが、先生の優しい顔を見て、再び涙が込み上げてきてました。

 

先生は、とよが神社を掃除する理由を知っていました。

年末に、綺麗な神社でお正月を迎えたいたいという思いで急ピッチで掃除していたとよでしたが、そんな最中に交通事故に遭ってしまいました。

それで、できるだけ早く治してくださいとむち打ちになったとよを治療してくださり、そのおかげでなんとかお正月までにある程度神社を綺麗にすることができたという経緯がありました。

 

そのため、源九郎稲荷神社ととよとの関わりを良くしってくれておりました。

そんなこともあり、とよ先生に経緯を話しました。

 

先生は、最後まで話を聞いてくれ、

むた接骨院院長
むた接骨院院長
ひどいな

と言いながら、自分が飲むために買った缶コーヒーをとよにくれました。

 

こんな道端で、泣いている女性を相手に話しを聞くということは大変なことだったと思います。

誰が見ても先生が、とよを泣かしているように見えたと思います。

 

でも、先生は、最後まで話を聞いてくれました。

とよは、泣いている自分が恥ずかしくなりました。

 

何のためにやっているんだろうと思った自分のことも恥ずかしくなりました。

そして、先生の優しさがとても心に染みました。

 

 

中川のおじちゃん、おばちゃんの優しさが身に染みて・・・

 

先生と別れた後、中川のおばちゃんから電話がかかってきました。

 

話を聞いたおばちゃんは、カンカンでした。

 

その後、中川のおじちゃんから電話がかかってきました。

あの失礼なおじさんに連絡を取って、叱り付けてくれたらしく、すぐに謝罪させるから神社に来て欲しいとおっしゃいました。

 

中川のおじちゃんも非常に怒っていました。

 

 

源九郎とよ
源九郎とよ
もう、いいです

と言ったものの、おじちゃんの好意を無にすることはできず、その人の顔を見るのも嫌でしたが、神社に行きました。

 

すると、その人が来ていて、再びおじちゃんが、その人を私の目の前で叱り付けてくださいました。

 

その人は、とよに

いじわるな男性
いじわるな男性
すみませんでしたねぇ

と謝りましたが、言い訳ばかりするので

源九郎とよ
源九郎とよ
悪いと思っていないじゃないですか。

上辺だけの謝罪など結構です。

 

と言いました。

 

すると、その人は、

いじわるな男性
いじわるな男性
一応、謝りましたからな

 

と言いました。

 

所詮、何を言っても無駄な人だとわかりました。

 

でも、その人を懸命に叱り付けるおじちゃんの姿を見て、とてもうれしく思いました。

 

後から聞いた話では、その男性は、奥さんと子供に逃げられて、今、1人暮らしをしているそうです。

 

中川のおじちゃんのお友達が師匠をされている「三味線の会」に所属しているそうですが、やはり他のメンバーの方と頻繁にトラブルを起こしているそうです。

 

中川おじちゃん
中川おじちゃん
自分が、誰からも相手にされないから、その怒りや寂しさをとよさんにぶつけんやろな。

偉い、災難でしたな〰

 

と中川のおじちゃんが言っておりました。

 

こうして、中川のおじちゃんが、とよのために取ってくれた行動は、とても嬉しく思いました。

そして、電話でカンカンに怒っていたおばちゃんの声を聞いて、とてもうれしく思いました。

おじちゃんとおばちゃんの優しさがとても心に染みました。

 

 

知足院玄明院岩岸住職の優しさが身に染みて

 

その後、岩岸住職からも電話がかかってきました。

知足山玄明院岩岸住職
知足山玄明院岩岸住職
ごめん。仕事で電話出れなかった。何かあった?

 

岩岸住職に経緯を話したら、中川のおじちゃん、おばちゃん同様に、カンカンに怒っていました。

そして、必死で私を慰めてくれました。

岩岸住職の優しさがとても心に染みました。

 

とよは突然、振って沸いたように、ある男性から心ない冷たい言葉を浴びせられて、らしくなく傷ついてしまいました。

 

でも・・・・・・

そのお陰で、私の周りには、とても優しい人達がいることを再認識させられました。

 

今から思うと・・・・その男性から言われた言葉は、どうってことないような言葉です。

思い出しても、悔しさはどこにも出てきません。

 

でも反対に、牟田接骨院の院長や中川のおじちゃん・おばちゃん、岩岸住職さん達が、とよに掛けてくださった慰めと励ましの言葉はいっぱいいっぱい出てきます。

 

そして、今でも私を温かい気分にさせてくれます。

 

とよは、この方たちから受けた恩と感謝の気持ちを忘れることなく、いつまでも大切に大切に心に持ち続けたいと思います。

 

物語の続き第49話はこちら

 

復興活動物語の目次はこちら

 

源九郎稲荷神社復興活動に続く「源九郎とよのバンコクスパ経営奮闘記」

 

源九郎とよ
源九郎とよ
源九郎稲荷神社がある程度復興して、多くの方が参拝に来てくださるようになった2014年、とよはある決意をします。

 

それまで勤めていた警察を辞めて、タイ、バンコクで新たな挑戦を始めることになったのです。

とよが源九郎稲荷神社復興活動チームから離れて、警察同期生だった親友の助けを得ながら異国タイで奮闘するハチャメチャな様子を綴った物語が「元女性警察官(刑事)コンピがバンコクでスパ経営物語」です。

なんとか成功してお金を貯めて源九郎稲荷神社の社務所を建て替えるのがとよの夢なのですが、新型コロナウィルスのパンデミックもあり、なかなかすんなりとはいかない状態です。

 

でも、夢をあきらめずにやれるところまで頑張ってみたいと思います。ご興味のある方は、そんな源九郎とよの奮闘状況をご覧ください。 

 

元女性警察官(刑事)コンビのバンコクスパ経営物語