お火焚祭を執り行ってくださる修験の住職は信貴山奥の院にも深い関係がありました(源九郎稲荷神社復興物語 第31話)

今回の登場人物
源九郎とよ
源九郎とよ
源九郎とよ(本名土井美苗):復興活動物語のボランティアチームスタッフ代表。この当時は警察官をしておりました。当時は本名を隠してペンネームの「源九郎とよ」で活躍しておりました。
知足山玄明院岩岸住職
知足山玄明院岩岸住職
岩岸住 職:源九郎稲荷神社のお火焚祭を執り行ってくださっている修験のお坊様。面白くてフットワークが軽いとにかく能力が高いお坊様。物理博士でもあります。
斑鳩町地域役員 Hさん
斑鳩町地域役員 Hさん
斑鳩町の役員Hさん:源九郎とよが当時働いていた斑鳩町の地域役員さん。元イベントプロデューサーなので、お坊さんや神主さん、県のお偉いさんなど幅広いブレーンを持つ方
KAZUちゃん
KAZUちゃん
かずちゃん:現在はHさんの長男さんのお嫁さん。当時はHさんが経営するカルチャースクールのマネージャーをされていた。不思議な霊視能力を持ち、斑鳩町の神官一族の元巫女さん。
キム兄
キム兄
キム兄:源九郎とよの元同僚で先輩。とよの親友美里とも元同僚の関係であり、美里が亡くなった時には「彼女の分まで俺らががんばって生きて行こう」ととよと誓いあったのに、数か月後に急死してしまう。

 

源九郎稲荷神社の境内で、語り部夫妻の中川さんご夫婦とお会いしてから、とよ達は3人で、荒廃した神社をなんとか復興させようということを何度も話合いました。

まずは、神社を綺麗にすることから・・・

 

ということで、神社のお掃除に取り掛かりました。

 

そして、少し不思議な能力をもったかよちゃんという女性に

KAYOちゃん
KAYOちゃん
もう一人、復興活動を手伝ってくれることになる

言われた人物である岩岸住職(吉野の金峯山寺の修験僧であり、さらに知足院玄明院という自坊の住職様)とも、とよは親睦を重ねていくことになります。

 

岩岸住職とも繋がった、聖徳太子さんの不思議な縁

 

とよは、信者さん達から岩岸住職に、桜の季節に吉野山で始めて出会ってから、住職の自坊に度々お参りに行くようになり、神仏について多くのことを学ぶようになっておりました。

 

彼は、単にお坊さんという存在を越えて、とよにとって大切な先生となっていきました。

 

とにかく、岩岸住職から学ぶことはたくさんあって、1つ1つが楽しくて仕方がありませんでした。
そして、いろんな話をするうちに、やっとぼんやりと・・・・

 

とよが働く斑鳩町で地域の役員をされているHさんが、いつも話されていたお坊さんが岩岸住職と同一人物だとわかってきました。
でも、岩岸住職もHさんとは世界遺産のイベントで一緒に仕事をして以降は縁遠くなっていたそうで、具体的にHさんの話をする機会はありませんでした。
そんなことから

 

とよとHさんとのおつきあい、
とよと岩岸住職とのおつきあい

 

は、それぞれが別のものとして存在していたため、一度も交わることがありませんでした。
しかし・・・

 

全く意外な形で、とよが始めて信仰というものに触れるきっかけとなった「信貴山奥の院」と、岩岸住職が深く関わっているいたことを、この後に知るのです。
それは、こんな経緯からでした・・・。
ある日とよは、斑鳩町の地域役員でカルチャースクールを経営されているHさんから
斑鳩町地域役員 Hさん
斑鳩町地域役員 Hさん
中秋の名月の日に、あるお寺でイベントをするねんけど、見に来ないか?
と誘われたのです。
源九郎とよ
源九郎とよ
何のイベントですか?

 

斑鳩町地域役員 Hさん
斑鳩町地域役員 Hさん
うちのカルチャースクールのイベントやねんけど、
クラッシックバレーのクラスと、創作ダンスのクラスの生徒さん達に、
満月の夜にお寺でお経に合わせて創作ダンスを踊らせるという企画なんやねん。
かずちゃんが企画したから是非来たってほしいねん。

 

かずちゃんというのは、以前、このブログでも何回か紹介した不思議な能力を有する女性です。
Hさんと一緒にカルチャースクールを経営している神官の一族で元巫女さんであり、彼女もまた、かよちゃんに負けないくらい霊視能力が強い子でした。

 

源九郎とよ
源九郎とよ
へえ〰。

すごいですね。
面白そう。

是非行かせてもらいますよ!!
で、どこのお寺でするんですか〰

 

斑鳩町地域役員 Hさん
斑鳩町地域役員 Hさん
信貴山奥の院という、お寺やねんけど、あまり知られてないからわからんよな〰

 

源九郎とよ
源九郎とよ
えっ〰!!
斑鳩町地域役員 Hさん
斑鳩町地域役員 Hさん
どないしたん
源九郎とよ
源九郎とよ
いえいえ、何もありません
とよが、高校の頃から原チャリで度々お参りにいっていた毘沙門天様を祀る信貴山奥の院が、こんな機会にこんな風に結びついてくるとは、びっくりぽんな状況でした。
このイベントは、今回で2回目だそうで、数年前には矢田寺で行われたそうです。
源九郎とよ
源九郎とよ
なんで、信貴山奥の院なんですか〰
斑鳩町地域役員 Hさん
斑鳩町地域役員 Hさん
吉野にある金峯山寺の坊主で岩岸くんという若者がおるんやけど、世界遺産のイベントのときに、凄く使える奴やとわかったんや。

 

それで、俺も何かと彼には俺なりに目をかけているねんけど、そいつが今、信貴山奥の院にアドバイザーとして行ってるねん。

 

というのも、奥の院は、昨年に先代の住職が病気で亡くなられて、その後を継ぐはずやった長男さんが事故で亡くなるという不幸が続いた寺やねん。

 

それで、今、寺を出ていた次男が戻って来て住職を継いでんやけど、経験不足に力不足やということで、岩岸くんが住職の奥さんに頼まれて時々指導に行ってるんや。

 

その岩岸くんの縁があって、今回、奥の院でイベントをやらせてもらうことになったんや。

ということで、岩岸住職と信貴山奥の院とが、とても懇意にしている仲であることを知ったのです。

 

そして、このHさんが話す岩岸くんという若いお坊さんが、岩岸住職のことだったのです。

 

しかし・・・こうして仏様を点として、私達が人間が線で繋がっていることには本当に驚きです。
それと・・・・
 とよは、この年の夏に、母と奥の院を訪れて、住職のお母さんに霊視をしてもらって
信貴山奥の院住職お母様
信貴山奥の院住職お母様
あなたは神仏に深く関わっていくことになります
と、いきなり言われただけに、あのお母さんの霊視が少し真実味を帯びて来たようで怖くなりました。

 

 ということで初めて参加させていただいたこのイベントは、それはそれは素敵で、満月の下で、般若心経に乗せてダンサー達が可憐に舞いました。とても綺麗でした。
また、この時、初めてかずちゃんの創作ダンスを見て
源九郎とよ
源九郎とよ
鈿女さんだ〰
 と思いました。
本当に、神様が踊っているような素敵な踊りでした。
そんなことから、やはりこの聖徳太子がキーワードの縁のリレーは、どんどんと次へ繋がって行くような気がしました。
幼少期に頻繁に訪れていた四天王寺から始まり、信貴山奥の院、斑鳩町へと繋がり、一時途絶えていた信貴山奥の院へ繋がりました。

 

この頃、とよは、
と思い、お寺参りが趣味になっていました。
それまでは、ただひたすら美里の病気の祈願だけを目的にお寺や神社に参っていましたが、だんだんとお寺と神社を参拝することが楽しくなり、神様や仏様のことを色々と知りたいと思うようになりました。
こうして、神仏に深く帰依することとなるとよは、この後、この岩岸住職とも一緒に力を合わせて源九郎稲荷神社の復興活動へと尽力することになっていくのです・・・・

 

尊敬する先輩キム兄の追悼登山

 

もうひとつ、とよには、ずっと気になっていたことがありましたが、それも実行することができました。

 

とよが神社の掃除に難航している中・・・秋もしだいに深まって行きました。

10月24日は、金剛山で亡くなったキム兄の命日です。

 

キム兄は、源九郎稲荷神社の掃除をすることとなったきっかけである親友美里と職場が一緒だった時、同じ部署で働いていた先輩警察官です。

天才的な射撃の名手であり、拳銃の教官をされていました。

 

美里が亡くなった時、

キム兄
キム兄
俺たちがあいつの分も精一杯生きていこうな!

 

と、とよとふたりで誓ったのに、その数ヶ月後、彼も突然旅立ってしまいました。

 

 

その後、とよ源九郎稲荷神社へお参りにいかなくなったのは、このキム兄が亡くなってからでした。

けれど、その後に岩岸住職に出会い、神仏に不信感を持ってしまっていたとよの考えは大きく変わりました。

 

そして、再び源九郎稲荷神社のお参りに行けるようになり、そこで出会った語り部ご夫妻と共に、荒廃した神社を復興させることを誓いました。

 

 

そんなことから、大きく歩みを進めることができるようになったとよは、どうしてもやりたいことがありました。

キム兄が亡くなった、金剛山への追悼登山です。

 

このことを、キム兄を慕う共通の知人に話をしたところ、キム兄が拳銃の教官時代に教えた教え子達に声を掛けてくれました。

そして、遂に追悼登山が実現したのです。

 

キム兄を慕う若い子達と、そして・・・

奥さんと娘さん2人にも声を掛けました。

 

「1年経って、やっと山に登る決心がつきました」

 

そう言ってくださったキム兄のご家族も、一緒に行ってくださることになりました。

 

しかし・・・・あいにくの雨

涙雨だったのでしょうか・・・

 

雨の中、めざす金剛山転法輪寺はひっそりとたたずんでいました。

キム兄が倒れたのが、このお寺の参道になります。

 

そして、このお寺の方が救急車を呼んでくださったりしてくれたそうです。

 

キム兄が倒れた場所に行く前に、転法輪寺にお参りをしました。

あいにく、救助活動をしてくださった方はおられず、奥さんや子供さんはお礼を言えなかったことを残念がっていました。

 

その後、本殿にお参りに行きました。

 

雨がシトシト降っていることもあってか、境内はとても静かで、明治維新の廃仏棄釈の世相の煽りを受けて、廃寺になっていたというその姿をとどめていました。

 

源九郎とよ
源九郎とよ
とても寂しい・・・キム兄・・。

こんな寂しいところで亡くなったのか・・

 

と思うと、悲しくなりました・・。

 

ところが、そんなとよの目に強烈な画像が飛び込んできたのです。

本殿の前に立てられたご本尊復刻の寄付を呼びかける看板・・

 

そこに写っていたのが、この法起菩薩(ほうきぼさつ)の写真でした。

とよの源九郎稲荷塾 ~絆~

 

とよは、この写真を見たとき、雷に打たれたように動けなくなっていました。

 

源九郎とよ
源九郎とよ
・・・キム兄にとても似ている

本当に良く似ていました。

 

法起菩薩さんは、金剛山を開いた役小角が金剛山で修業中に現れたそうです

そして、そのお姿を仏像にして安置されたそうです。

 

上の写真のように、五眼六臂のお姿で、農耕の守護神だそうです。

 

明治の廃仏棄釈の嵐の時には、仏教よりも苛烈に潰されたのは修験の寺です。

 

転法輪寺も存在を許されなくなり、仏像は壊されることになり、2m程の立像であった法起菩薩は、仏頭だけを金剛山の下の菩提寺に隠すことができましたが、胴体は破壊されたそうです。

源九郎とよ
源九郎とよ
目が5つもある、こんな奇妙なお顔なのに、なぜこんなに惹かれるのだろう・・

 

とよは、みんなが周りからいなくなっていることも気がつかず、いつまでも、その写真に見入っていました。

 

後で岩岸住職に教えていただきましたが、

法起菩薩は金剛山にしか祀られていない修験道の仏様

だそうです。

 

吉野大峰山で役行者さんが感得された蔵王権現さんの最初のお姿だと聞きました。

 

しばらく仏様に見とれて、身動きができなくなっていたとよですが・・・・

はっと、周りに誰もいないことに気がついて、慌ててみんなの後を追い、本殿の横にある参道へと向かいました。

 

 

本当に本殿のすぐ横に、キム兄が倒れたという場所がありました。

とよが追いついたときには、すでにその場所に奥さんや子供さんがお花を手向けていました。

 

雨の中、みんなで静かに手を合わせました。

 

 

奥さんと子供さんの嗚咽が聞こえました・・。

みんな泣いていました・・。

 

 

とよも、本当にキム兄がいなくなったことを実感しました。

源九郎とよ
源九郎とよ
静かに静かに、この場所に眠っている・・

そう感じました。

 

キム兄奥様
キム兄奥様
お誘いいただいて本当にありがとうございました。

自分達だけではいつまでたっても、この場所に立つことはできなかったと思います。

 

今日こうして、夫が亡くなった場所に立つことができ、あの人の冥福を心から祈ることができました。

 

奥さんは、涙を噛み締めながら、とよに向かってそう言ってくださいました。

 

とよは最初、

源九郎とよ
源九郎とよ
こんな寂しいところでキム兄は死んだんだ

 

と悲しくなったけれど、あの法起菩薩さんの写真を見て、

 

源九郎とよ
源九郎とよ
キム兄は、法起菩薩さんのこんな近くにいて、今はきっと心安らかに違しているに違いない・・

そう思いました。

 

みんな、何か1つ乗り越えた日であった気がします。

 

 

そしてとよは、

美里が亡くなったお通夜の席で、キム兄がとよに

キム兄
キム兄
あいつの分まで、俺たちが精一杯生きないとあかんな

と言った言葉を噛みしめ

 

源九郎とよ
源九郎とよ
美里とキム兄の2人分、私は、自分に与えられた使命をしっかりと果たして、精一杯生きます

と、法起菩薩様に誓っておりました。

 

以前、郡山八幡宮の宮司の奥様に

郡山八幡宮宮司奥様
郡山八幡宮宮司奥様
神仏は自分のお願いをするものではなく、自分の思いや目標、夢をやりとげようと誓うものですよ

と言われた言葉が頭の中で繰り返されました。

 

 

そして・・・

とよは、この誓いの後、憑りつかれたように源九郎稲荷神社の復興活動に邁進することになるのです。

 

物語の続き32話の記事はこちらから

復興活動物語の目次はこちら

 

源九郎稲荷神社復興活動に続く「源九郎とよのバンコクスパ経営奮闘記」

 

源九郎とよ
源九郎とよ
源九郎稲荷神社がある程度復興して、多くの方が参拝に来てくださるようになった2014年、とよはある決意をします。

 

それまで勤めていた警察を辞めて、タイ、バンコクで新たな挑戦を始めることになったのです。

とよが源九郎稲荷神社復興活動チームから離れて、警察同期生だった親友の助けを得ながら異国タイで奮闘するハチャメチャな様子を綴った物語が「元女性警察官(刑事)コンピがバンコクでスパ経営物語」です。

 

なんとか成功してお金を貯めて源九郎稲荷神社の社務所を建て替えるのがとよの夢なのですが、新型コロナウィルスのパンデミックもあり、なかなかすんなりとはいかない状態です。

 

でも、夢をあきらめずにやれるところまで頑張ってみたいと思います。ご興味のある方は、そんな源九郎とよの奮闘状況をご覧ください。 

 

元女性警察官(刑事)コンビのバンコクスパ経営物語