源九郎稲荷神社へと導いてくれた親友美里との別れ(源九郎稲荷神社復興物語 第22話)

今回の登場人物
源九郎とよ
源九郎とよ
源九郎とよ(本名土井美苗):復興活動物語のボランティアチームスタッフ代表。この当時は警察官をしておりました。当時は本名を隠してペンネームの「源九郎とよ」で活躍しておりました。
美里
美里
美里:とよの親友。癌で余命3か月の命。とよの警察同僚のHくんとは高校の同級生

 

源九郎とよが、源九郎稲荷神社へ足を運んだのは、癌で余命宣告をされた親友美里の病気祈願をしたのが最初でした。

 

食べ物を口にすることができなかった美里は、とよが源九郎稲荷神社に祈願した数日後には食べることが可能になり、しばらくして退院することができました。

 

願いを叶えてくださった源九郎稲荷神社に対して、何か力になれないものか・・・・

そう考えて、当時、荒廃していた源九郎稲荷神社の境内のお掃除を始めました。

 

このお掃除がきっかけで、後に源九郎稲荷神社を復興させようという活動へと繋がっていきます。

しかし、一時は良くなったものの、1年後には再入院した美里・・・

壮絶な闘病生活を続けますが・・・

 

 

前回の記事はこちら

 

 

美里の難しい手術の結果は・・・

 

そんな美里と源九郎とよがお別れする日が近づていきました。

 

とよは、時間のある時は、源九郎稲荷神社に日に何度もお参りをしました。

 

本当は

源九郎とよ
源九郎とよ
美里の命を助けてください

とお願いしたかったのですが、郡山八幡宮の宮司の奥様から、

 

郡山八幡宮宮司奥様
郡山八幡宮宮司奥様
神様は自分の希望をお願いするものではなく、自分の志や願いや思いを誓う存在です

 

と言われていただけに、それはできずにおりました。

 

ただ

源九郎とよ
源九郎とよ
闘う美里に最後まで寄り添います

と源九郎大神様に誓いました。

 

そして・・・できるだけ美里のお見舞いに行きました。

 

けれど・・・美里の闘う姿を見て、とよの心の中では

源九郎とよ
源九郎とよ
もう、そんなにがんばらないで

という気持ちが日に日に強くなってきていました。

 

美里が、がんばることをやめたとき、それは美里の死を意味します。

 

とよは、

 

源九郎とよ
源九郎とよ
美里と別れたくない、美里がいなくなることなんて考えられない・・・・

 

そう思うものの、抗ガン剤を治療を受け、苦しみながらがんばる美里の姿が、辛くて見ていられなくなってきていました。

 

美里の苦しい闘病生活は、2ヶ月ほど続きました。

 

 

その間、美里は癌が大きくなりすぎて抗がん剤治療ができなくなっため、再び手術を受けました。

とても難しい手術なので、違う病院の有名な大腸外科医の先生が来られて執刀をしてくれることになりました。

 

その手術は何時間もかかりましたが、大きくなった癌細胞を取り除くことができました。

そのため、近いうちに再び抗がん剤治療が再開できるとのことでした。

 

 

腸が破裂してしまった美里・・・

 

そして、手術から2週間ほどたった夏まっさかりの8月初旬、とよがいつものように病院に行くと、美里が、表情のない顔でベットに横たわっていました。

 

いつもなら、どんなに辛くてもニコリと笑ってくれる美里が、とよの顔を見ても本当に無表情だったのです。

源九郎とよ
源九郎とよ
どうした? 美里らしくないね。
がんばりすぎて、少し疲れたかな?

 

とよは、美里に話かけました。

 

美里
美里
あのさ~。腸が破裂しちゃってさ~

もう一生何も食べれないんだ。

 

・・・・とよは、その言葉の意味がわかりませんでした。

源九郎とよ
源九郎とよ
えっ、どういうこと?

 

術は成功したんだけど、腸の方が持ちこたえられなかったみたい。
昨日破裂しちゃったんだ。

 

それで先生から。この先一生固形物の食べ物を口にすることはできないって言われちゃった。

美里
美里

 

そう言った美里の顔に、やっと、いつもの笑みが戻りました。

 

 

源九郎とよ
源九郎とよ
食べれないって・・・じゃあ、どうやって栄養を摂るの?

 

点滴しかないみたい・・・。今まで食道楽で、おいしいものばかり食べてきたからバチが当たったかな~
美里
美里

 

源九郎とよ
源九郎とよ
何を言ってるの!!
そういう問題じゃないでしょ!!

 

とよは、これでもかと次から次へとやってくる病魔が美里に与える仕打ちに対してすごく腹立たしくて、その感情をどこにぶつけたらいいのかわかりませんでした。

 

 

美里とのお別れの時間

 

二人の間にかなり長い間沈黙の時間が流れました・・。

 

美里
美里
しばらく、病院には来ないでくれる?

 

最初に言葉を発したのは美里でした。

 

えっ、どうして?私が来たら迷惑なん? それとも私の前だとがんばらないといけなくてしんどい?
源九郎とよ
源九郎とよ

 

美里
美里
違うよ。来てくれるのはとてもうれしいよ。

今、来てくれるのはあんただけだし・・・。

 

でもね、確かに少しだけ、心がしんどいんだ~。

食べれないという事実を受け止めるのに、少し時間がほしいんだ~。

 

それと、今までがんばりすぎたから、しばらくゆっくりしたいねん。

元気になったら連絡するから、そしたら、また来てよ。

 

源九郎とよ
源九郎とよ
うだね。わかった。

かなりがんばりすぎたもんね~。

 

とよは、ついに美里と別れの時が来たんだなと思いました・・。

どっと涙が溢れました。

 

美里の前で泣いてはいけない・・・

美里が泣かないのに泣いてはいけない・・。

 

必死で涙をぬぐいました。

 

そして、美里のこの思いを受け入れなければいけない・・・

 

そう思いました。

 

源九郎とよ
源九郎とよ
じゃあ、帰るね。必ず連絡してね。

待ってるからね。必ずだよ!!

 

うん。エレベーターまで送るよ
美里
美里

 

源九郎とよ
源九郎とよ
いいよ。しんどいのに、無理しなくて

送らせて。

暫く会えないから送りたいねん。

美里
美里

 

そう言って、美里は、ベットから起き上がりました。

 

 

そして、点滴をしたままの姿で、とよを病室から10メートル程歩いたナースセンターのところまで送ってくれたのです。

 

美里
美里
ごめん、エレベーターのところまで無理みたい。

ここまでが限界。ここで許してね。

 

じゃあね。

元気になったら連絡するからね。

 

そいう言って、美里はニコリと笑うと、踵を返してUターンしました。

美里が、振り返ってとよの方を見ることはありませんでした。

 

とよは、痩せた美里の後ろ姿を、いつまでもいつまでも見ていました。

もう二度と会えないことを予感しながら・・・・。

 

 

物語の続き第23話はこちら

 

復興活動物語の目次はこちら

源九郎稲荷神社復興活動に続く「源九郎とよのバンコクスパ経営奮闘記」

 

源九郎とよ
源九郎とよ
源九郎稲荷神社がある程度復興して、多くの方が参拝に来てくださるようになった2014年、とよはある決意をします。

 

それまで勤めていた警察を辞めて、タイ、バンコクで新たな挑戦を始めることになったのです。とよが源九郎稲荷神社復興活動チームから離れて、警察同期生だった親友の助けを得ながら異国タイで奮闘するハチャメチャな様子を綴った物語が「元女性警察官(刑事)コンピがバンコクでスパ経営物語」です。

 

なんとか成功してお金を貯めて源九郎稲荷神社の社務所を建て替えるのがとよの夢なのですが、新型コロナウィルスのパンデミックもあり、なかなかすんなりとはいかない状態です。

 

でも、夢をあきらめずにやれるところまで頑張ってみたいと思います。ご興味のある方は、そんな源九郎とよの奮闘状況をご覧ください。 


 

元女性警察官(刑事)コンビのバンコクスパ経営物語