前回は、夕涼み会の打ち合わせ会議の席で、住民から思わぬ反対意見が出たお話をさせていただきました。
けれど、ルーキー伊藤君の地元を思う熱い郷土愛に打たれた住民方は、全面的に協力してくださることになりました。
さて、いよいよ夕涼み会の当日となりました
薬八幡宮のおばあちゃん宮司さんがお手伝いにきてくださいました
源九郎稲荷神社「夕涼み会」1日目の当日朝・・・
いよいよ、本番の日がやってきました。
朝から、中川のおじちゃん、伊藤くん、そして中川さんの知り合いのKさんとで、テントを立てています。
私は、中川のおばちゃんと神社のお掃除をしていました。
ちょうど、鳥居付近の落ち葉を掻き集めて袋に入れているときに、隣の神社である「薬園八幡宮」の宮司さんが来られました。
と言って、お金を寄付してくださいました。
この宮司さんは、女性の宮司さんなのですが、年齢はすでに80歳を超えているのではないかと思います。
とても上品な方で、源九郎稲荷神社のことを色々と気遣ってくださるのですが、実は、この方と私のとの間で、今年の春に気まずい出来事があったのです。
私と、中川のおばちゃんは、お花が大好きなのですが、綺麗になった神社の敷地のあちらこちらに、いろんなお花を植えて楽しんでいました。
ところがある日・・・
色とりどりのお花を植えて、大はしゃぎをしていた二人のところに、この宮司さんが来られて
と言われたのです。
そんなしきたりなど全然知らないし、まずしきたりなどお構いなしの私と中川のおばちゃん・・
いきなりそんなことを言われても納得がいきません。
ささやかな抵抗をしましたが・・・
叱られてしまいました・・・。
落ち込む私・・・。
中川のおじちゃんは、
と言ってくれたので・・・数日はそのままにしておいたのですが・・
宮司さんに叱られたのがショックだったのか、そのお花たちは数日後には全部枯れてしまいました。
宮司さんの意外な言葉・・お花を植えてはいけない真相とは・・
その後、中川のおばちゃんは、お構いなしに綺麗な色花を植えて育てていましたが、それ以降宮司さんが来れられることはありませんでした。
そして、それ以降初めての再会でした。
とよは、そんな思いで宮司さんとはできるだけ顔を合わせないようにしていました。
すると、宮司さんの方からとよのところに近寄ってこられたのです。
ありがとうね
そう声を掛けてくださいました。
私は、顔を合わせないようにした自分が恥ずかしくなりました。
宮司さんは更に
お花を抜きなさいなんて言って。
せっかく神社を綺麗にしようとして植えてくれたのにね
と言ってくださいました。
その言葉で、この宮司さんが、あれ以降ずっとこのことを気になさっていたことがわかりました。
後からわかったことですが、どうもお花の大嫌いな例の蛇女と名乗る信者さんが、知り合いであるこの宮司さんに、神社の境内に花を植えないように注意をしてほしいと頼んだようなのです。
それで、この宮司さんは嫌われ役を買って、私達に注意をしに来られたようなのです。
でも、私達が、ずっと神社の掃除をして綺麗にしてきたことを知っておられたので、とても心が痛んでおられたようです。
その後、宮司さんは、タンゴのコンサート用の客席の椅子を拭いてくださったり、並べてくださったりと、暑い中、ご高齢にもかかわらずお手伝いをしてくださいました。
よく見ると、とてもとてもお優しい顔をされています。
私は、この宮司さんの一言で、心の棘が抜けたようで、涙が出そうになりました。
いろんな人のいろんな側面を見せられる・・・・
このお祭りは、そんなお祭りなのかもしれない・・
そんな気がしました。
物語の続き第56話はこちら
復興活動物語の目次はこちら
元女性警察官(刑事)コンビのバンコクスパ経営物語