今回の登場人物
源九郎とよ(本名土井美苗):復興活動物語のボランティアチームスタッフ代表。この当時は警察官をしておりました。当時は本名を隠してペンネームの「源九郎とよ」で活躍しておりました。
語り部「中川のおじちゃん」:源九郎とよと一緒に神社の復興活動をスタートさせることとなる神社の総代さん。今では神社の「語り部氏」として、雑誌やテレビなどにも取り上げられる神社の顔。陽気で優しくてダンディーな人で、とよが第二の父と仰ぐ存在。
中川のおばちゃん:語り部氏の奥様。神社の境内で四季折々のお花を育てているお花の守人。陽気で優しくて、笑っているところしか見たことがない朗らかな人
知足山玄明院岩岸住職:吉野山金峯山寺の修験のお坊様。源九郎稲荷神社のお火焚祭の神事を執り行ってくださっています。
かよちゃん:不思議な霊視能力を持つ女性。大神神社の大物主神から、「源九郎稲荷神社の復興活動スタッフの一人として源九郎大神様が岩岸住職を使わしてほしいとお願いしてきた」というご神託を受け、源九郎とよに岩岸住職を紹介する
遂に念願がかなった源九郎稲荷神社の祈祷
源九郎とよは、源九郎稲荷神社の境内で「静守大神」の扁額を発見したものの、どうしていいのかわからず、しばらくは、拝殿に置いたままにしていました。
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掃除を始めてから、季節は冬に変わっていました・・。
とても、寒くなって来ていました。
ある日とよは、知足山玄明院の岩岸住職のところにお参りに行きました。
そこで、源九郎稲荷神社の掃除の進捗状況や見つけた扁額のこと等を詳しく話しました。
岩岸住職は、
と言ってくれました。
とよは、飛び上がる程うれしくなりました。
拝まれていない源九郎大神様の痛みを、掃除をするたびに感じるようになっていたからです。
掃除はできても、拝んであげることは私にはできない。
そういう思いが、日ごと強くなってきていました。
といつも、手を合わせていました。
ここで、みなさん
どうして神社なのにお坊様が祈祷に来られるの?
不思議に思われるかもしれません
正直、とよもとても不思議に思い、
と聞いてしまいました。
お坊様はお坊様でも、
山伏さん、つまり修験道のお坊様は、
仏様だけでなく神様を拝む作法ができる
ということを、この時始めて知ったのです。
玄明院の岩岸住職は、世界文化遺産にも指定されている、
のお坊さんになります。
吉野山金峯山寺は
とっても美しくて、荘厳で、神々しい秘仏の蔵王権現様がいらっしゃるお寺ですよ〰
このお寺のお坊様達は山伏さん(修験僧)なので、お山の中でとても厳しい修行をされます。
山岳修行により、悟りを得ることを目的とする日本古来の山岳信仰が仏教に取り入れられたため、自然を支配する神々も拝まれます。
神仏習合の宗教であり、神道で用いられる祝詞、祓詞、加持、祈祷を行う行事や儀式もたくさんあるそうです。
そんなことから、岩岸住職は、祝詞も祓詞も唱えることができますし、加持、祈祷も行うことができる、すごい阿闍梨様(お坊様の先生)なのです。
そんな岩岸住職が源九郎稲荷神社のために行って下さるという祈祷は、
鳴り釜神事
というものでした。
鳴り釜神事は、
釜の上に蒸篭(せいろ)を置いて、その中にお米を入れ、蓋を乗せた状態で釜を焚いた時になる音の強弱、長短で吉凶を占う神事
だそうです。
岡山の吉備津神社の鳴り釜神事 はとても有名だそうです。
現在、伏見稲荷講の指導者や、一部の神社の祭典等でも、この鳴り釜神事は執り行われているとのことでした。
とても不思議で感動的な「鳴り釜神事」
そして、岩岸住職は、2011年月1日に、源九郎稲荷神社に来てくださることになりました。
中川のおじちゃんもおばちゃんも、とても喜んでくれましたが、山伏さんという業種のお坊さんと出会うのは二人とも初めて・・
とても、緊張されていました。
そして、初めてのご対面。
中川のおじちゃんは、岩岸住職を見て、開口一番に
と言いながら、まじまじ岩岸住職の顔を見ていました。
これには、岩岸住職もかなり照れていました。
なにせ、彼はもう40代のベテラン山伏さんなので、可愛いという言葉は似合わない年です。
でも・・・・中川のおじちゃんが、そう言うのもわかるくらい、目のくりっとした本当に可愛らしい顔をした方なのです。
そして、話せば、とてもおもしろくて、優しくて、色んなことを教えてくれて、誰もが彼のファンになってしまいます。
その岩岸住職ですが、お経を唱えだすと人が変わります。
高僧とは、こういう人のことを言うのだろうなと思わずにいられないくらい、彼の周りには特別な空気が流れ出すのです。
源九郎とよは、この空気の中に身を置くのがとても心地よくて、彼の行う祈祷が大、大、大好きなのです。
中川のおじちゃんもおばちゃんも、すぐに岩岸住職に心を許したのがわかりました。
そして、彼の祈祷が始まりました。
このとき、以前に
大神神社の大物主さんが、源九郎稲荷神社の復興メンバーの一人に岩岸住職がなるってご神託をくれたよ~
とお告げのようなことをとよに告げたかよちゃんも、
と言って来てくれました。
彼女は、大神神社の大物主神から岩岸住職が源九郎稲荷神社の復興活動の力になる人だという神託をもらったといことで、とよに岩岸住職を紹介してくれた人であり、かなりの霊感の持ち主です。
いよいよ、岩岸住職の祈祷が始まりました
かよちゃんは、岩岸住職が祈祷を始めた途端・・
源九郎稲荷神社の摂社になる源光稲荷さんの社の傍の方を指さし
と、とよに教えてくれました。
祈祷が終わった後、その話を聞いた岩岸住職は、
この街は昔、遊郭だったから、ひょっとしたら成仏できていない遊女さん達が、何をしているのかなと興味があって見に来たのかな?
とおっしゃっていましたが・・・
かよちゃんが
遊女さんの幽霊とは違うと思う。
身なりはボロボロの着物を着てたけど、とても神々しかったので、あれは神様やと思うよ!!
と言うので、かよちゃんの霊視能力の高さを知っている岩岸住職も
と考えこまれました。
そして、とよが静守大神の扁額の話をしたのを思い出され
ひょっとしたら、その神様はあの扁額に書かれていた静守大神さんかもしれないね。
神様は、人の前に姿を見せる時には、拝んでくれる人達に近い姿で現れると言われているから・・・・
遊郭街にあった源九郎稲荷神社は、たくさんの遊女さん達に拝まれていただろうし、遊女さんの姿で現れるといことは、あり得る話やとは思う。
とよちゃんが、扁額を発見したことで、姿を現されたのかもしれない。
・・・そして、静守大神さんは、やはり、源九郎さんのことやろうね。
とおっしゃられたのです。
それを聞いたかよちゃんは、
と、興奮しておりました。
そこで、この後、静守大神様の扁額に焦点があたり、この扁額をどうすればいいのという話になりました。
岩岸住職は、
おそらく、静守大神様は、源九郎
稲荷と一緒に拝まれていた神様なので、ご神殿の中に一緒に入れてあげるのがいいと思う。
けれど、現在、宮司さんがいない状態で、勝手にそんなことはできないだろうから、とりあえず、お社の扉の前に半紙を敷いて、その上に置いてあげてください。
と言われました。
そして、更に・・・
一度、この神殿の中にちゃんとご神体がおられるか確認しておいたほうがいいかも。
扁額がそんな形で見つかったというのは気になるところやね。
とも言われたのです。
この話を聞いたとよは、もうドキドキものでした。
自分のわからないところで、神社の何かが急に動きだしているような感覚を覚えたのです。
かなり長い間、誰からも拝まれなかったであろう源九郎稲荷神社・・・・
12月1日は、源九郎さん・・そして静守さんが息を吹き返した特別な日・・
とよには、そんな風に感じたのです。
そして、とよのその予感はみごとに当たり、この後、不思議なことが次々に起こることとなるのです。
岩岸住職のお経が、この先やってくる大きなうねりの道標となっていくような、そんな予感がしました。
物語の続き第36話はこちら
源九郎稲荷神社復興活動に続く「源九郎とよのバンコクスパ経営奮闘記」
源九郎稲荷神社がある程度復興して、多くの方が参拝に来てくださるようになった2014年、とよはある決意をします。
それまで勤めていた警察を辞めて、タイ、バンコクで新たな挑戦を始めることになったのです。
とよが源九郎稲荷神社復興活動チームから離れて、警察同期生だった親友の助けを得ながら異国タイで奮闘するハチャメチャな様子を綴った物語が「元女性警察官(刑事)コンピがバンコクでスパ経営物語」です。
なんとか成功してお金を貯めて源九郎稲荷神社の社務所を建て替えるのがとよの夢なのですが、新型コロナウィルスのパンデミックもあり、なかなかすんなりとはいかない状態です。
でも、夢をあきらめずにやれるところまで頑張ってみたいと思います。ご興味のある方は、そんな源九郎とよの奮闘状況をご覧ください。
元女性警察官(刑事)コンビのバンコクスパ経営物語