癌と闘う親友を支えた筋ジストロフィーの少女(源九郎稲荷神社復興物語 第10話)

今回の登場人物
源九郎とよ
源九郎とよ
源九郎とよ(本名土井美苗):復興活動物語のボランティアチームスタッフ代表。この当時は警察官をしておりました。当時は本名を隠してペンネームの「源九郎とよ」で活躍しておりました。
美里
美里
美里:とよの親友。癌で余命3か月の命。とよの警察同僚のHくんとは高校の同級生
みっちゃん
みっちゃん
とよの親友「美里」の元教え子。筋ジストロフィーで闘病生活を続けている。癌で闘う美里を常に励ます存在

 

源九郎稲荷神社に毎日お参りに行き、

源九郎とよ
源九郎とよ
友達の美里の病気が良くなるように自分自身ができることをやる

という誓いを立てたものの、美里の癌はすでに手遅れの状態でした。

 

手術することもできず、余命をやりたいことをして過ごしてくださいと医者に言われたそうです。

 

でも、美里は可能性が少なくても病気と闘う道を選び、抗がん剤治療にわずかな望みをかけました。

 

今回は、そんな美里の強さがどこから来るのか・・・

そのことをご紹介したいと思います。

 

前回の記事はこちらから

筋ジストロフィーの少女「みっちゃん」

 

美里とは、とよの前職である警察官のときに、1年間同じ職場でし勤務したことがきっかけで、すごく仲良くなりました。

 

その職場にはとよが後からやってきました。

美里は産休に入っている職員の代わりに臨時で働きに来ていた嘱託社員さんでした。

 

新しい部署に不安だらけのとよに、赴任初日から、美里は優しい笑顔で声を掛けてくれました。

 

同年であることがわかりました。

さらに、警察の同僚であるHくん(源九郎稲荷神社のお掃除隊「心洗組」の中心人物)やMちゃん(とよの同期生)と高校の時の同級生でした。

 

彼女はすごく若く見えました・・・。

20代でも通用するような・・・・。

 

色白で、とても肌のきれいなロングヘアのお姉さんでした。

背がとても高くて、スーツをピシッと着こなしていました。

天海祐希によく似ていました。

 

とてもよく気がつく女性でした。

そして、みんなから好かれていました。

 

性格はとても気さくで、二人はすぐに打ち解けました。

職場での席が隣になりました。

 

彼女は、福祉関係の大学で働いていました。

そこで、筋ジストロフィーの学生と出会いました。

 

彼女の名前は

みっちゃん

 

みっちゃんとの出会いが美里を変えました。

 

まだ19歳で死と向き合うみっちゃんに、美里は心が大きく揺れました。

みっちゃんは、美里のことをお姉さんのように慕っていたようです。

 

そんなみっちゃんと接する中で、美里は自分のやりたいことが見つかり、その後大学を辞めて障害者施設で働く道を選びます。

 

でも、障碍者施設というのは美里が思うよなところではなかったそうです。

 

人の不幸を金にするところ・・・。

美里はよくそう言っていました。

 

施設で働くうちに、美里は新しい夢を持ち始めました。

高齢者の方の役に立ちたい・・・・。

 

彼女は、社会福祉士になる道をめざしました。

そして施設を辞め、国家試験の勉強をするため、とよがいる職場に嘱託で働きはじめました。

 

とよは、彼女と出会ったとき、色んなことがあって、夢なんて言葉を既に忘れてしまっていました。

きらきらと夢を語り、夢に向かって努力している美里を見ていると、夢を持たない自分が情けなくなりました。

 

よく、美里に

源九郎とよ
源九郎とよ
夢がある美里がうらやましいよ。

って言いました。

 

美里はそんなとよに、

美里
美里
きっとまた夢をもてるようになるよ。どんな夢をもったらいいのかわからないときはねぇ。

夢に向かって懸命に努力している人を精一杯応援するんだよ!!

あんたは、私を応援しなさい(笑)そしたら、あんたにも夢を持てる日がくるから

とよく言いました。

 

彼女とはたった1年、とよと一緒に仕事をしただけです。

でも、毎日毎日、いろんな話をしました。

 

恋愛のこと、グルメのこと、美容のこと・・・。

そして彼女の夢のこと、そして病気と闘っているみっちゃんのこと・・・。

 

彼女がいた間、彼女を訪ねて障害者の子達が、自分達が作ったパンを売りに、よく職場に来ました。

その子達を通じて、私も障害者の子達を正しく理解することができるようになりました。

 

お金の計算ができずに困っている障碍者の子達に、妙な親切心を出して手助けしようとしたら・・・

美里に

美里
美里
そこは助けるとこじゃない

って叱られました。

 

障碍者へのサポートの仕方についても、色々と彼女から教えてもらいました。

 

彼女が嘱託期限が過ぎて職場を去っていった後も二人は交流を深め、お互い親友と呼べるようになっていました。

でも、美里の方が断然お姉さんで、いつも相談をするのはとよで、相談に乗るのが美里でした。

 

彼女は

美里
美里
私、女性の友達ってほんとうにいないねん。男ばっかり。

女性って邪魔臭いやん。色々と・・・。

でもあんたって、男みたいな性格やからうまくいくんやろうなあ。

唯一できた、女性の親友やろうなぁ

 

って言ってくれました。

 

夢をあきらめない親友&筋ジストロフィーの少女

 

美里と通じて、とよもみっちゃんと交流ができました。

よくみっちゃんからメールをもらいました。

 

彼女は、長い間刑事の仕事をしていたとよのファンであり、刑事をしていた時の取り扱った事件の話などを聞かせてあげました。

でもそのうち、みっちゃんは筋ジストロフィーが進行し、手がつかえなくなり、メールをうつことができなくなりました。

 

美里はみっちゃんのために、口で書けるボールペンを探しました。

そして、聾唖者の方がよく使われる、書いて消してができるボードをプレゼントしました。

 

みっちゃんから、直接メールがもらえなくなったとよは、美里がお見舞いに行くたびに、みっちゃんの様子を知らせてもらいました。

みっちゃんの病気が、どんどん進行していることがわかりました。

 

美里は、そんなみっちゃんのためにも、社会福祉士に絶対になるんだとがんばっていました。

そして、2007年の夏に生駒市にある老人ホームに、ようやく社会福祉士として就職することができたのです。

 

でも・・・・

夢を叶えてたった半年後に彼女は病に倒れたのです。

 

最初は悔しくて、どうしようもない怒りしか覚えなかったとよでしたが、美里が病気と闘う姿を見て、

源九郎とよ
源九郎とよ
たった半年であったとしても、彼女が夢を叶えたということはすばらしいこと

 

だと思うようになりました。

 

そして、その美里に勇気と夢を与え続けてたのが闘病中のみっちゃんです。

そのみっちゃんもまた、病気を克服し普通に働きたいという夢を持っていました。

 

夢を持つこと・・。

そして夢に向かって努力すること。

夢を叶えること・・・。

 

誰もが望むことだけど、誰でもできることじゃありません。

自分を信じて、コツコツと地道に努力できるものだけが掴むことができくるもの・・。

それが夢・・・。

 

夢とは、人が生きていくうえでなくてはならないものだと、とよは美里に教えられました。

 

そして、夢に向かってがんばるいろんな人との出会いが、その後のとよの人生を大きく変えていくことになるのです。

 

次回11話の記事はこちら

 

復興活動物語の目次はこちらから

源九郎稲荷神社復興活動に続く「源九郎とよのバンコクス経営奮闘記」

 

源九郎とよ
源九郎とよ
源九郎稲荷神社がある程度復興して、多くの方が参拝に来てくださるようになった2014年、とよはある決意をします。

それまで勤めていた警察を辞めて、タイ、バンコクで新たな挑戦を始めることになったのです。とよが源九郎稲荷神社復興活動チームから離れて、警察同期生だった親友の助けを得ながら異国タイで奮闘するハチャメチャな様子を綴った物語が「元女性警察官(刑事)コンピがバンコクでスパ経営物語」です。

なんとか成功してお金を貯めて源九郎稲荷神社の社務所を建て替えるのがとよの夢なのですが、新型コロナウィルスのパンデミックもあり、なかなかすんなりとはいかない状態です。

でも、夢をあきらめずにやれるところまで頑張ってみたいと思います。ご興味のある方は、そんな源九郎とよの奮闘状況をご覧ください。 


元女性警察官(刑事)コンビのバンコクスパ経営物語