源九郎稲荷神社復興チームによる手作りの夏祭り「夕涼み会」の1日目は、源九郎稲荷大神様の神通力で雨も神社のある大和郡山市だけが降らなかったため、アルゼンチンタンゴコンサートを無事に終了することができ、みなさんに大喜びしていただくことができました。
そして、夕涼み会の2日目を迎えました。
2日目は、朝から非常にやかましい人が一人いました。
実行委員長の伊藤くんです。
伊藤君は源九郎稲荷神社の社務所に入ってくるなり、
この帯結んでくれる人いますかね~
と浴衣の帯を取り出しました。
聞くと、おばあちゃんからいただいた帯だそうです。
と言いましたが、どうも彼は、今日は、もっと早くから浴衣を着たいようでした。
そして、夕方・・・
伊藤君・・ため息ばかり・・
あんたは女の子か?
そして、ついに待ち切れかなかったのか伊藤君、ご近所のNおばあちゃんに浴衣を着せてもらうことになりました。
でも、どうも帯が長いらしく、Nおばちゃん四苦八苦していました。
その後も、中川のおばちゃんから
と言われては、結び直してもらったけど、やはり帯が長すぎてうまく結べません。
とよの友達の着付けの資格を持っているNちゃんが来てからも、やはり
ということで、なかなかうまく結べず・・・
ようやくうまく結べたのは、結局、夕涼み会が終わった打ち上げのときでした。
と私は内心思っていましたが、伊藤君はとても満足そうでした。
この2日目、とよが伊藤君と会話した内容は、浴衣のことのみ!!
全く・・・・すごいアイデアを出して実行していく行動力のあるすごい奴かと思えば、1日浴衣のことしか言わないし・・・
おかしな若者であります。
そして、打ち上げが終わっての帰り道、伊藤君は川本邸の前で立ち止まると
川本邸さんありがとう
と、感謝の言葉を述べていました。
はっ~。
本当におかしな若者でありんす。
けれど、伊藤君に負けずに、おかしな奴がもうひとりおりました。
それは、源九郎とよです。
次は、お茶席でのとよの大失敗についてご紹介します。
お茶の作法がわからない!! けれど・・知らないって強い!!
この日のイベントは、源九郎稲荷神社復興チームの若手スタッフであるk-poolゆっこちゃんの「鬼剣舞」です。
鬼剣舞が始まるまで時間があるので、源九郎とよは、遊郭の旧川本邸で開かれている「お茶席」に寄せていただくことにしました。
旧川本邸では、元の持ち主である川本さんによるお茶席が設けられていました。
このお茶席ですが、費用はすべて川本さん個人が出してくださいました。
源九郎とよは、友達のNちゃん、そして鬼剣舞を見に来てくださった玄明院の岩岸住職とお弟子さんの4人で、燈火が点灯された幽玄な遊郭街を源九郎稲荷神社から川本邸へと向かいました。
旧川本邸では、伊藤君たちが考えたイベントである「大金魚博覧会」が開催されており、この日は一般の人も入場できるため大変な賑わいを見せていました。
本来、川本邸にはお屋敷の奥にお茶室があるのですが、そこはあまりにも狭いということから、この日のお茶会は玄関近くの大広間で行われていました。
川本さんのお弟子さん達が、忙しそうに用意をされており、お茶室となった和室では、亭主の川本さんが
ニコニコ
して座っておられました。
川本さんは、私達の顔を見ると、
と薦めてくださいました。
先頭を歩いていた岩岸住職・・・
上がろうとして、大広間を見渡した後
と言いながら、踵を返してお弟子さんと共に川本邸から出て行きました。
(吉野山からお弟子さんと一緒に下って来られたので、今日は山伏さんのお姿をされていました。
そのため、足元は草履ではなく脚絆でした。
なので、脚絆を脱ぐのが大変だからやめたんだと、とよは住職の言葉どおりに解釈したのですが、実は住職が踵を返した理由が別にあることが、後でわかりました。)
さらにとよの前にいた友達のNちゃんも、住職が踵を返して出て行ったあと、急にとよの後ろに回ります。
先頭になったとよは、川本さんに薦められるまま
と喜びながら、空いている席へ座りました。
とよが座った後、Nちゃんが座るのを躊躇しながら・・・
と教えてくれました。
他の席はすでに、お客さんがたくさん座っていたので、とよは空いている席に何も考えずに座ったのですが、
他のお客様はとよが座った席が、
もっとも上席
であるため、あえて避けて座らずにいたみたいなのです。
でも、そんなこと気にしない~
と、お茶の作法がわかっていないとよは、Nちゃんに注意されても平気でいたので、Nちゃんも渋々とよの左横に座りました。
川本さんはそんなとよに、何度も素敵な笑顔を向けてくださっていたので、何もわかっていないとよはニタニタと川本さんに笑いを返していました。
その後、川本さんのご挨拶があって、お菓子が運ばれてきました。
と喜ぶとよ・・。
ところが・・・・
なぜか、他のお客さんがとよの方をやたらに注目しているのです。
と思いながらも、出されたお菓子をニタニタしながら頂きました。
その後、お茶を点てていた女性から、お茶碗に入ったお薄が私の前に置かれました。
そして、その女性が一礼・・
そこで・・・
と思った瞬間、横のNちゃんから
と指示がきました。
と、わけのわからないまま、とよは言われたとおりに・・
その後すぐに、
と、次の指示がありました。
と思いながらも、言われたとおりにあいさつをして、その後もすべてNちゃんに教えてもらいながら、無事お薄を頂くことができました。
めんどくさいこと言わないといけないけど、お薄はおいしいな~
と思いながら、お茶碗を置いたところ、隣のNちゃんが、飲み終わったお薄のお茶碗を見ながら、川本さんにいろいろと質問をしていました。
なんでも知っているな~。
と感心している間に、他のお客さんのところに、次から次へとお弟子さんによりお茶が運ばれてきました。
自分が飲み終わったとよはNちゃんに・・・
と小声で聞きました。
と叱られてしまいました。
他のお客さんがお茶を頂いている間、Nちゃんは、お道具などについても川本さんに質問をしていました。
それを聞いていて、とよは、訳がわからない顔をしていたのでしょうか、そんなとよの方に、川本さんは笑いかけながら、
と聞かれました。
とすかさず返事をするとよ。
二杯もお薄を頂いてしまいました~(^O^)/
その後、席を立ったとよにNちゃんが・・・
とよちゃんが座った席は正客と言って、お茶室に招かれたお客さんの代表が座る席なんよ。
だからあえて、岩岸住職は逃げていったし、私は、そこしか空いていないからどうしようかと躊躇していたのに、とよさんが平気で座りに行くからびっくりしたよ~。
と言うのです。
更に、
と教えてくれました。
それで、みんなが変な顔で私の方を見ていたのか・・
知らないって強いですよね~。
気にしない、気にしない
そう自分に言い聞かせたものの、やっぱり後からかなり恥ずかしくなりました(^o^;)
なにせ・・・警察官という職業だったとよは、普通のOLさんがするような花嫁修業的な習い事は一切したことがなく、いかに自分が無作法者であるかを思い知らされました。
でも、おいしくお茶をいただけたので、楽しいひとときでした。
さて、次回はいよいよ鬼剣舞の様子をお届けしますね。
物語の続き第60話はこちら
復興活動物語の目次はこちら
源九郎稲荷神社復興活動に続く「源九郎とよのバンコクスパ経営奮闘記」
それまで勤めていた警察を辞めて、タイ、バンコクで新たな挑戦を始めることになったのです。
とよが源九郎稲荷神社復興活動チームから離れて、警察同期生だった親友の助けを得ながら異国タイで奮闘するハチャメチャな様子を綴った物語が「元女性警察官(刑事)コンピがバンコクでスパ経営物語」です。
なんとか成功してお金を貯めて源九郎稲荷神社の社務所を建て替えるのがとよの夢なのですが、新型コロナウィルスのパンデミックもあり、なかなかすんなりとはいかない状態です。
でも、夢をあきらめずにやれるところまで頑張ってみたいと思います。ご興味のある方は、そんな源九郎とよの奮闘状況をご覧ください。
元女性警察官(刑事)コンビのバンコクスパ経営物語