天の岩戸から引きづり出されたアマテラスですが、このときに活躍した神様方の中に
祭祀氏族の租
と言われている神様がいらっしゃいます。
その神様方はこの後、天孫降臨などにも重要な役割を果たす神様なので紹介したいと思います。
その1柱目はオモイカネという神様です。
「古事記」では思金神
「日本書紀」では思兼神
と書きます。
この神様は、アマテラスが天岩戸に隠れた際、八百万の神様たちに知恵を授けたことから、
知恵の神、学問の神、受験の神
として信仰されています。
江戸時代後期の国学者である
平田篤胤
の説では、この神様は
天児屋根命と同一神(岩戸隠れの際、祝詞を唱え、鏡を差し出した神様)
であるとされています。
高木神の子とされていますが、常世の神とする記述もあります。
またこの後、天孫降臨でニニギに随判した神様としても知られています。
名前の
「おもひ」は「思慮」
という意味であり、
「かね」は「兼ねる」
の意味で、
多くの人々が持つ思慮を一人で兼ね備える、すごい人格者の神様
なのです。
思想、思考、知恵を神格化した神様とも言われ、高天原の知恵袋といってもよい存在なのです。
次は、アマテラスの岩隠れの際、八咫鏡(やたのかがみ)を造った神様の紹介です。
スサノオの行動に怒ったアマテラス は、天岩戸に引きこもってしまいました。
そこで、八百万の神様が天の安川原に集まり、どうしようかと相談しました 。
そして、紹介1柱目の神様として紹介したオモイカネという神様の提案で、色々な儀式を行います。
オモイカネは、イシコリドメという神様に命じて、八咫鏡を造らせます。
このイシコリドメという神様ですが、
石凝姥命
と書き、名前の由来は字のとおり
石の鋳型を用いて鏡を鋳造する老女の意味
だそうです。
この鏡は、アマテラスを岩からおびき出すために作られました。
アマテラスが岩戸に引きこもってしまったため、世の中は闇に包まれました。
けれど、岩戸の前は、何やらとても騒々しいではありませんか・・・・
不思議に思ったアマテラスは、岩戸の扉を少しだけ開けて外を見ます。
すると、アメノウズメという神様が楽しそうに踊り、八百万の神々は舞を見て笑っています。
アマテラスは「私がいなくなり闇になっているというのに、どうしてそんなに楽しそうに踊っているのか」とアメノウズメに問います。すると、アメノウズメは「あなたより貴い神が現れたので、それを喜んでいるのです」と言います。
その時、イシコリドメの作った八咫鏡をアマテラスの前に差し出します。
アマテラスは、鏡に映った自分の姿をその貴い神だと思います。
ということで、このときに使われた八咫鏡を造った神様がイシコリドメなのです。
ちなみに、
日前神宮と國懸神宮(和歌山県)
には、八咫鏡に先立って造られたとい言われている
日像鏡(ひがたのかがみ)と日矛鏡(ひほこのかがみ)
が祀られているそうです。
イシコロドメは、作鏡連(かがみづくりのむらじ)らの祖神であり、
鋳物の神、金属加工の神
として信仰されることになります。
またこの神は、天孫降臨の際、ニニギにつき添って天降るように命じられた五伴緒の一人です。
次に紹介するのは、タマノオヤです。
祭祀氏族の租とされるタマノオヤは、
玉造部(たまつくりべ)の租神
とされています。
アマテラスの岩戸隠れの際に
八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)
を作ったとされる神様です。
八尺瓊勾玉は、
三種の神器
の1つであり現在、宮中三殿の賢所に安置されています。
タマノオヤの名前の由来は
勾玉を作る者
です。
「古事記」のみに登場し、「日本書紀」には登場しない神様です。
また、
天孫降臨の際に、ニニギに付き添って天降るように命じられ、
アメノコヤネ、フトダマ、アメノウズメ、イシコリドメと共に五伴諸の一人として随伴した神様です。
玉の神様であることから、
宝石・時計業や
レンズのことを玉とも言うことから
眼鏡・カメラ業者
に信仰されています。
タマノオヤを祀る代表的な神社は
玉租神社
で山口県防府市にあります。
周防の一の宮であり、手占神事で有名な格式高い神社です。