アマテラスとスサノオは、さっそく高天原を流れる天の安河(あめのやすかわ)を挟んで誓約をを行うことになりました。
先ず、スサノオが腰に帯びていた十拳剣(とつかのつるぎ)とアマテラスがミズラに巻いていた勾玉の首飾りを互いに交換しました。
アマテラスはスサノオから乞い受けた十拳剣を三つに折り、
これをゆらゆらと音を立てて天の真名井(高天原にあるという神聖な井戸)の聖水につけて清めた後、
口に押し込んで凄まじい勢いで噛み砕きました。
そして、粉々になった剣を一気に吐き出しました。
するとその霧状になった息の中から、
多紀理毘売命(たぎりびめのみこと)
市寸島比売命(いちきしまひめのみこと)
多岐都比売命(たきつひめのみこと)
の三柱の女神が相次いで生まれました。
次にスサノオはアマテラスの左右のカズラと髪飾り、
両手のそれぞれに巻いた数多くの八尺の勾玉を緒に貫いた玉飾りを乞い受け、
ゆらゆらと音を立てて真名井で清めた後、噛み砕き、勢い良く吐き出しました。
すると
正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)
天之菩卑能命(あめのぼひのみこと)
天津日子根命(あまつひこねのみこと)
活津日子根命(いくつひこねのみこと)
熊野久須毘命(くまのくすびのみこと)
の五柱の男神が次々と生まれました。
誓約を終えたアマテラスはスサノオに
「後に生まれた五柱の男神は、私が身に着けていた勾玉の髪飾りから生まれた。だから、これらの男神は私が生んだ子供です。そして、先に生まれた三柱の女神はお前が身に着けていた剣から生まれました。したがって、お前の子供です。」
と言って、生まれた神の所属を分けました。
はじめの取り決めどおり女神を生んだことによって、スサノオの身の潔白は証明されたのです。
そして、三柱の女神は九州の宗像大社(むなかたたいしゃ)に鎮座することになりました。
タキリビメは沖津宮(おきつぐう)に、
タキツヒメは中津宮(なかつぐう)に、
イチキシマヒメは辺津宮(へつぐう)に
鎮座し、この地方の豪族、宗像の君の祖神として崇められています。
また、後から生まれた五柱の神は各地の豪族の祖神として崇められています。